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保育園の朝、子どもが養育者の脚にしがみついたあと、少し落ち着くと先生に手を引かれて遊びへ向かう。公園でも、いったん大人のそばに戻って安心してから、また滑り台へ走っていく。この「離れる、戻る、また探索する」という見慣れた動きは、愛着理論の入口としてとてもよくできた場面です。

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大学のゼミ発表で、前に座る人たちが何度もうなずいてくれていたので手応えを感じていたのですが、質疑に入ると要点がほとんど伝わっていないとわかったことがあります。うなずきは「同意」や「理解」の証拠とは限らず、しぐさを単独で読んでも本音はつかめない。このズレが、行動心理学を考える出発点でした。

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会議で質問が出ずに沈黙が続く、業務量は多いのに自分で決められる範囲は狭い、でも1on1では率直に話せるチームもある――そんな違いに引っかかったとき、鍵になるのが産業心理学です。これは働く人の気持ちを根性論で片づけるのではなく、仕事の設計や上司の関わり方、組織のしくみから職場を捉える学問です。

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心理学史は、人物名を追うだけだとすぐ迷子になります。筆者自身、大学の心理学史の授業で1895年、1896年、1900年、1913年、そして1950〜1960年代が頭の中で入れ替わりがちだったので、この記事では最初に年表と比較軸という地図を置き、精神分析から行動主義、認知心理学、

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新卒面接で、ドアを開けた瞬間の挨拶、背筋の伸び方、声の張りだけで「この人はできそうだ」と感じてしまったことがあります。こうした一つの目立つ特徴に引っ張られて、他の側面までまとめて高く、あるいは低く評価してしまう認知の偏りが、ハロー効果です。

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初めて入る街で飲食店を探すとき、空いている店より、つい行列のできた店に足が向いたことはないでしょうか。あの感覚の正体に近いのが、バンドワゴン効果です。これは多数派に引かれて支持がさらに増える現象で、他人の行動を判断材料にする社会的証明の枠組みで理解できますが、同じ言葉としてまとめてしまうと少し粗くなります。

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大学時代、ある小テストで自己採点は「7割くらい取れた」と感じていたのに、返ってきた点は5割台でした。この「わかったつもり」と実際の成績のズレこそ、ダニング・クルーガー効果を考える入口です。ここで指すのは知能や人格の断定ではなく、特定の課題で自分をどう見積もるかという自己評価の誤差です。

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映画館で、途中から明らかに合わないと感じた作品を前にしながら、「ここで出たらチケット代がもったいない」と席を立てず、結局エンドロールまで見てしまったことがあります。あのときの筆者は、これ以上時間を使う不利益より、すでに払ったお金を無駄にしたくない気持ちに引っぱられていました。

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高額なガジェットを買ったあとに「これは必要な投資だ」と言い聞かせたり、夜更かしした翌朝に「今日は特別だから」と自分を納得させたりする瞬間は、思っている以上に身近です。

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LINEの返信が少し遅れただけで「嫌われたのでは」と胸がざわつく人もいれば、「いまは放っておこう」と気持ちを引く人もいます。こうした受け取り方の違いを説明するのが「愛着スタイル」ですが、これは対人関係の傾向を示す心理学概念であって、医学的な診断名ではなく、「愛着障害」とそのまま同じものでもありません。

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発達心理学は「子どもの心理」を学ぶ分野だと思われがちですが、実際には乳児期から老年期までの変化を追う、生涯発達の学問です。筆者自身、学部初年のころはそう誤解していましたが、エリクソンやバルテスに触れてから、年を重ねることそのものを発達として捉え直すようになりました。

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保育の現場でいないいないばあに声を上げて笑う子、水を細長いコップに移した途端に「増えた」と感じる子、理科で仮説を立てて確かめ始める子を見ていると、考える力にはたしかな道筋があると実感します。そうした変化を4段階で整理したのが、スイスの心理学者ジャン・ピアジェの認知発達理論です。

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大学1年の発達心理学の講義で、筆者はエリクソンの8段階を年齢と「徳」で暗記しようとして、どこが全体の軸なのか見失ったことがあります。だからこそこの記事では、エリク・H・エリクソン(1902-1994)の心理社会的発達理論を、まず全体像からつかみ、

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大学の授業やビジネス研修でマズローのピラミッドだけが当然の前提として配られる場面に、筆者はたびたび引っかかってきました。1943年の論文A Theory of Human Motivationで示されたのは、

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アドラーの個人心理学は、人を「分割できない全体」として捉えるところから始まります。オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラー(1870-1937)がフロイトと決別して1910年代に形にした理論ですが、日本では嫌われる勇気(2013)を通じて広まり、原典より強いメッセージだけが先に知られた面もあります。

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研究打合せの最中に、上司から「今夜までに急ぎでお願いします」と連絡が入った瞬間、筆者の頭の中では、これは脅威なのか挑戦なのか、打てる手はあるのかという見積もりがほとんど無意識に走っていました。

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このページで扱うのは営業の小手先ではなく、社会心理学でいう「説得」の枠組みです。検索で混同されがちなデール・カーネギーの人を動かすにある“6原則”とは別に、ここではロバート・B・チャルディーニが1984年の著作で整理した6原則を見ていきます。

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1961年にイェール大学で始まり、1963年に公表されたミルグラム実験では、代表条件で参加者40人のうち26人、つまり65%が最大450Vまで進み、しかも全員が300Vまでは従いました。

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権力が人を変えるの象徴的な実例として語られがちなスタンフォード監獄実験ですが、1971年にスタンフォード大学で行われたこの研究は、参加者24人、報酬は1日15ドル、予定2週間に対して実際は6日で中止という基本事実をまず押さえておく必要があります。

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教室で線分課題のデモをすると、全員が同じ誤答を言い続けるだけで、正しいとわかっている人ほど口が重くなります。ところが一人だけでも別の答えを出すと、さっきまで張っていた空気がふっとゆるむ場面を、筆者は何度も見てきました。アッシュの同調実験が示したのは、正解が明白でも人は多数派に引っぱられうるという事実です。

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スマホの通知音が鳴った瞬間、内容を読む前に手が伸びることがあります。あの「体が先に動く」感じを手がかりにすると、パブロフの犬は昔の有名実験ではなく、いまの生活や脳研究につながる学びとして見えてきます。

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大学で研究補助としてゼミ運営を手伝っていたとき、学生の発言に対する返しを「よかった」で終わらせず、「次はここを試そう」と具体化しただけで、数回のセッション後には手を挙げる学生が目に見えて増えました。

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吊り橋効果は、怖さや緊張で高まった心拍を相手への好意と取り違える「覚醒の誤帰属」の一例として理解すると、より正確です。筆者は初デートでホラー映画を観た直後に相手が普段より魅力的に見え、その後でその感覚が身体反応の影響だったと気づいた経験があります。

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心理学の学派は、名前を覚えるだけでは見えてきません。どの立場が何を問題にし、前の学派の何を引き継ぎ、どこを批判して次へ進んだのかを時系列でたどると、行動主義から認知心理学、認知行動療法、そして「第三の波」までが一本の流れとしてつながってきます。

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試験前になると決まって似た夢を見る、うっかりした言い間違いに自分でもぎょっとする。そんな身近な“あるある”から入ると、フロイトの精神分析は急に遠い古典ではなく、心の動きを読むためのひとつの見取り図として見えてきます。