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嫉妬深い人の心理|心理学で考える対処

更新: 小野寺 美咲
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嫉妬深い人の心理|心理学で考える対処

嫉妬とは、1954年にフェスティンガーが提唱した社会的比較理論で説明できる、人が身近な他者と自分を比べたときに立ち上がる感情である。友人や同僚の投稿を見て胸がざわついたり、恋人や職場の嫉妬深い人に振り回されて疲れたりするとき、そこには性格の欠陥ではなく、脳が自然に働かせる比較の仕組みがある。

嫉妬とは、1954年にフェスティンガーが提唱した社会的比較理論で説明できる、人が身近な他者と自分を比べたときに立ち上がる感情である。
友人や同僚の投稿を見て胸がざわついたり、恋人や職場の嫉妬深い人に振り回されて疲れたりするとき、そこには性格の欠陥ではなく、脳が自然に働かせる比較の仕組みがある。
筆者も人事・組織開発の現場で、優秀な同僚の昇進をSNSで知って素直に喜べなかった経験があるが、それを仕組みとして捉え直した途端、感情に名前がついて少し楽になった。
この記事では、嫉妬(jealousy)と羨望(envy)の違い、良性と悪性の分かれ目、そして自分が嫉妬してしまう側と周囲の嫉妬深い人に困っている側の両方に使える対処法まで、整理していきます。

嫉妬深い人の心理とは|まず『嫉妬』と『羨望』を切り分ける

嫉妬深い人の心理を理解する出発点は、嫉妬(jealousy)と羨望(envy)を切り分けることです。
jealousy は自分が持っている関係や立場を奪われる恐れで、恋愛の三角関係のように「失うかもしれない」が中心になります。
envy は他者が持つものを自分も欲しいと感じる痛みで、同僚の昇進や友人の成功を見たときに生じやすい感情です。

心理学でいう嫉妬(jealousy)と羨望(envy)の違い

日本語の「嫉妬」はこの二つをまとめて指すことが多く、そこで感情の輪郭がぼやけます。
だからこそ本記事では、奪われる恐れを嫉妬、欲しいのに手に入らない痛みを羨望として整理します。
名前が分かれると、何に反応しているのかが見えやすくなり、対処の方向も変わってきます。

たとえば、パートナーが別の誰かに心を向けているかもしれない不安は嫉妬です。
これに対して、同じ年齢の友人が先に評価された、あの人だけ成果を上げたという痛みは羨望でしょう。
研修設計で参加者に「嫉妬と羨望どちらですか」と尋ねたとき、多くが言葉に詰まりましたが、区別を示すと表情が少し和らぎました。
感情を曖昧なまま抱えるより、まず言葉にするほうが整理は進みます。

『うらやましい』と『嫉妬』の境界線はどこにあるか

「いいな」「うらやましい」は、それだけでは嫉妬ではありません。
そこに「それに比べて自分は…」という自己否定が重なったとき、胸の痛みは嫉妬へ傾きます。
つまり、相手の持ち物や状況を見て刺激を受ける段階と、自分の価値まで下がったように感じる段階は別です。

この境界を意識すると、自分の反応を過剰に責めずに済みます。
友人の結婚報告に「おめでとう」と言いながら胸がざわついた経験は、後から振り返れば羨望でした。
祝福したい気持ちと、自分だけが取り残される感覚が同時に動くことは珍しくありません。
単なる憧れで終わるのか、自己否定まで進むのか。
そこが分かれ目です。

感情中心にあるもの典型的な場面受け止め方
jealousy失う恐れ恋愛の三角関係関係の不安を見直す
envy欲しい痛み昇進、成功、結婚比較の向きを調整する
うらやましい軽い刺激相手の成果を見たとき必ずしも苦痛ではない

嫉妬は異常ではなく誰の心にも起きる正常な感情

嫉妬は異常でも性格の欠陥でもなく、人間に普遍的に備わった感情です。
むしろ、嫉妬を感じない人はいないという前提に立ったほうが、感情を冷静に扱いやすくなります。
自分は心が狭いのではないか、と切り捨てるほど、かえって感情はこじれます。

嫉妬深さの背景には、自己肯定感の低さ、劣等感、完璧主義、プライドの高さ、独占欲や喪失への恐れが重なります。
特に恋愛では、不安型の愛着傾向が見捨てられ不安として表れやすいです。
比較の視線が強い人ほど、周囲の動きに揺れやすいもの。
だからまずは「自分は今、嫉妬しているのか、羨望しているのか」と確かめてみてください。
感情に名前がつくだけで、次の一手は見えやすくなります。

なぜ嫉妬が生まれるのか|社会的比較理論で読み解くメカニズム

社会的比較理論は1954年に心理学者レオン・フェスティンガーが提唱した考え方で、人は自分の能力や価値を測る客観的な物差しがないとき、他者を基準にして自分を評価する。
嫉妬の出発点は、性格の弱さというより、この比較の仕組みにある。
だから、胸のざわつきは「自分が悪い」と切り捨てるより、どの相手をどう見ているのかをたどったほうが整理しやすい。

社会的比較理論とは|人は身近な他者と自分を比べる

社会的比較理論は、能力や価値を測るはっきりした尺度がない場面で、人が他者を手がかりに自己評価を行うという発想である。
組織のメンタルヘルス施策を設計したときも、不調の背景として「隣席の同僚との比較」が繰り返し出てきた。
昇進した、評価された、忙しそうだ、そうした日々の小さな情報が積み重なると、自分の位置が気になってしまう。

ここで効いてくるのは、比較対象の近さです。
年齢・経歴・立場が近い「隣の同僚」ほど、自分との距離が小さいぶん差が具体的に見えます。
赤の他人の大富豪にはあまり揺さぶられないのに、同期の昇進には胸がざわつく。
この反応は、比較が抽象的な世界ではなく、生活圏のすぐそばで起きているからこそ強くなる。

上方比較と下方比較|どちらが嫉妬を生むか

比較には、自分より優れた他者を見る上方比較と、自分より下と感じる他者を見る下方比較がある。
嫉妬は常に上方比較から生まれ、相手の持つ成果や評価が自分にないときに痛みとして立ち上がる。
下方比較は逆に安心や優越感をもたらすため、感情の向きは嫉妬と反対になる。

この違いを知っておくと、嫉妬を「単なる嫌な気分」で終わらせずに済みます。
たとえば、通勤電車で何気なくSNSを開き、友人の旅行写真を見た瞬間に一日全体の気分が沈むことがあるでしょう。
あれは、相手の楽しそうな一場面だけが切り取られ、自分の今と比べられてしまうからです。
上方比較は、見せ方次第でいくらでも強くなる。

嫉妬には、羨望や自己否定が混ざりやすい点も見落とせません。
単に「いいな」と思うだけなら軽い感想で終わりますが、そこに自分の不足感が重なると、感情は痛みに変わります。
だから、相手の成果を見たときに何が刺さったのかを言葉にできると、感情にのみ込まれにくくなるのです。

SNSが嫉妬を増幅させる理由|常時オンの上方比較

SNSは、編集されたハイライトの上方比較を24時間供給する装置だ。
投稿されるのは成功、楽しさ、充実感が中心で、途中の迷い、退屈、失敗は見えにくい。
つまり、比較材料そのものがすでに偏っている。
しかも表示は止まらないため、気づかないうちに何度も自分を他人の切り取られた成果と並べてしまう。

ここに、嫉妬が起きやすい構造があります。
比較対象は身近な友人や同僚で、しかも見えるのはその人の良い部分だけ。
組織の現場で見ても、評価制度そのものより、周囲の成果が断続的に流れ込む環境のほうが心をざわつかせやすい。
SNS時代の嫉妬は、個人の器の問題ではなく、上方比較を増やす環境設計の問題として理解したほうが筋が通る。
ここは押さえておきましょう。

嫉妬深い人に共通する特徴と心理的背景

嫉妬深さは、単に心が狭いから生まれるのではなく、自己肯定感の低さや劣等感、そして他人に負けたくない気持ちが絡み合って強まります。
目の前の相手そのものより、「相手の成功を見ると自分の価値が揺らぐ」という感覚が反応を大きくしやすいのです。
だからこそ、嫉妬の有無だけで人を切り分けるより、その奥にある不安の形を見たほうが理解は深まります。

自己肯定感の低さと劣等感が引き金になる

嫉妬深い背景には、自己肯定感の低さが横たわっていることが少なくありません。
自分で自分の価値を支えきれないと、他者の長所や成果を見た瞬間に「それに比べて自分は」と比較が始まり、比較そのものが自己否定を呼び込みます。
すると、相手への感情として表れる前に、まず自分への失望が膨らみ、その反動が嫉妬になるのです。
人事面談でも、成果を出しているのに「同期に勝てない」と苦しむ社員に何度も出会いましたが、そこで目立っていたのは能力の不足より、自分を認める感覚の弱さでした。

過去の失敗や周囲との比較が積み重なると、劣等感はさらに固定化しやすくなります。
すると、相手がただ成功しただけでも、自分の未熟さを突きつけられたように感じてしまうでしょう。
ここでつらいのは、相手の行動が直接の攻撃でなくても、受け手の内側で「自分は劣っている」という物語が勝手に完成してしまう点です。
嫉妬を和らげる第一歩は、相手を下げることではなく、自己否定の回路に気づくことにあります。

完璧主義・プライドの高さと嫉妬の関係

完璧主義やプライドの高さも、嫉妬を強める要因です。
理想像が高い人ほど現実とのギャップに敏感で、少しの遅れや失点でも「負けた」と感じやすくなります。
さらに対抗心が強いと、相手の言葉や態度を事実以上に競争のサインとして受け取りやすく、プライドが傷つく場面が増えていきます。
その結果、傷ついた自尊心を守るために、相手の成果を認めるより先に否定したくなるのです。

このタイプの嫉妬は、外から見ると攻撃性や冷たさとして現れやすいのが厄介です。
自分を守るつもりで相手を下げても、内側の苦しさは消えません。
むしろ、「あの人は大したことない」「運が良かっただけだ」と考えるほど、比較の土台に自分を置き続けることになります。
新人時代、優秀な同期に対して無意識に冷たい態度をとってしまい、後になって「あれは嫉妬だった」と気づいた経験がありますが、あの反応もまさにプライドを守るための動きでした。
自分の弱さを見たくないほど、嫉妬は表に出やすくなるものです。

恋愛での嫉妬|独占欲・喪失不安と愛着スタイル

恋愛における嫉妬は、独占欲と喪失への恐れが核になります。
相手を失いたくない気持ちが強いほど、連絡の間隔や他人との関わりに敏感になり、「嫌われたかもしれない」と早合点しやすくなるのです。
特に愛着スタイルのうち不安型の人は、相手の小さな変化を拒絶の兆しとして受け取りやすく、嫉妬が不安の言い換えになりやすいでしょう。
ここで役立つのは、これは性格の善し悪しではなく、反応の傾向として捉える視点です。

ℹ️ Note

恋愛で嫉妬が強まるとき、表面には怒りが出ても、奥には「見捨てられたくない」という恐れが隠れていることが多いです。

また、嫉妬深い人は他者の成功を素直に喜べず、批判したり距離を置いたりする行動に出ることがあります。
恋愛でも、相手の交友関係や活躍を見て急に冷たくなる、あるいは試すような態度を取ることがあるでしょう。
けれども、その行動を単なる性格の悪さと切り捨てるより、背後にある不安の強さとして理解したほうが、相手との関係は見えやすくなります。
嫉妬は愛情の裏返しに見えて、実際には喪失への備えとして働いている場面が多いのです。

嫉妬の脳科学|妬みは『痛み』、他人の不幸は『報酬』

高橋英彦らが2008〜2009年に行ったfMRI研究は、嫉妬をただの気持ちとしてではなく、脳がどのように処理しているかという形で見せた。
妬みを感じているときには、葛藤や身体的な痛みに関わる前部帯状回が活動し、胸のあたりが重くなるようなつらさが比喩ではないことを裏づけている。
さらに、妬みの対象に不幸が起きると、報酬に関わる線条体が反応し、他人の転落にほっとする、あの複雑な感情まで脳内で説明できるようになった。

fMRI研究でわかった嫉妬と前部帯状回の関係

2008〜2009年に高橋英彦らが行ったfMRI研究では、妬みを感じているときに前部帯状回が活動することが示された。
前部帯状回は葛藤の処理や身体的な痛みの処理に関わる部位であり、嫉妬の苦しさが「気のせい」ではなく、脳が痛みとして扱っている反応だと考えられる。
だからこそ、嫉妬が出てきた自分を即座に責める必要はない。
まず起きている反応の性質を知るだけでも、気持ちの扱い方は少し変わる。

シャーデンフロイデ|他人の不幸を喜ぶ脳の報酬反応

同じ研究では、妬みの対象に不幸が起きると線条体が活動することもわかった。
線条体は報酬に関連する部位で、ここが反応するという事実は、他人の失敗や転落を見たときに生じる快感が、シャーデンフロイデとして脳に組み込まれていることを示している。
嫉妬と「ざまあみろ」が同じ感情ではなくても、前者の苦しさと後者の快さが、脳のレベルではつながっているのだ。
筆者がこの研究を知ったとき、自分の中にあった「他人の失敗を少しうれしく感じる罪悪感」が腑に落ち、必要以上に自分を責めなくてよくなった。

研修でこの話をすると、参加者の表情がふっとゆるむ場面を何度も見てきた。
「自分だけじゃないんだ」と感じた瞬間、嫉妬を抱えることへの過剰な自己批判が少し下がるからだろう。
感情の芽を消すのではなく、どう受け止めるかに意識を向けましょう。

嫉妬がつらいのは脳の仕組み上『当然』である理由

嫉妬がつらいのは、前部帯状回が痛みと似た反応を示し、線条体が相手の不幸を報酬として扱うからである。
つまり、妬みは「苦痛」と「快感」が同時に揺さぶられる状態で、心が落ち着かなくなるのは仕組み上ごく自然だ。
しかも、嫉妬が強い人ほど相手の不幸時に線条体の活動が強まる相関までみられている。
感情の強さと反応の強さが結びつくなら、やるべきことは感情を否定することではないはずです。
自分は今どんな反応をしているのかを見きわめ、次にどんな行動を選ぶかへ意識を移してみてください。

良性の嫉妬と悪性の嫉妬|成長の燃料か関係を壊す毒か

嫉妬は、ひとまとめに悪者として扱うと見誤ります。
研究では、嫉妬(羨望)は良性の妬みと悪性の妬みに分かれ、前者は「自分も頑張ろう」という自己改善を、後者は「相手を引きずり下ろしたい」という攻撃を生みやすいと整理されています。
同じ「うらやましい」という感情でも、向かう先が真逆になるのです。
見分ける鍵は、相手の優位を妥当と受け止めるか、不当と受け止めるかにあります。

良性の妬み|『自分も頑張ろう』に変わる嫉妬

良性の妬みは、相手の成果を見て終わるのではなく、自分の不足を具体的に見せてくれる感情です。
たとえば、同僚の企画が刺さっているとき、その優位を「努力で得た妥当なもの」と捉えられると、注意は相手の足を引く方向ではなく、自分の能力を上げる方向へ移ります。
筆者もかつて同僚の企画力に強く嫉妬したことがありますが、批判する代わりに「どうやって作っているか」を聞きに行ったところ、関係がぎくしゃくせず、発想の組み立て方まで学べました。
嫉妬を比較で終わらせず、学習の入口に変えられると強いのです。

この転換が起きると、嫉妬は「相手に勝つ」ための感情ではなく、「昨日の自分を超える」ための燃料になります。
良性の妬みは、相手を脅威として見るより、手本として見るほうが育ちやすいでしょう。
少しでも再現できる点を探し、真似できる部分から試してみてください。
おすすめです。

悪性の妬み|『引きずり下ろしたい』に向かう嫉妬

悪性の妬みは、相手の成功が自分にはふさわしくないと感じた瞬間に強まりやすい感情です。
若手時代、筆者も陰口に加担してしまい、場の空気に流されたことがあります。
ところが、相手の評価を下げる側に回ったはずなのに、残ったのは後味の悪さと、自分の信頼の低下でした。
噂、足の引っ張り、露骨な批判は、短期的には気が晴れたように見えても、長く見れば人間関係の土台を削ります。

ここで厄介なのは、悪性の妬みが「相手を下げれば自分が上がる」という錯覚を生むことです。
実際には逆で、攻撃に回るほど周囲からの見え方は悪くなり、最終的には自分の評価まで傷つきます。
嫉妬を感じたら、相手の失敗を願う前に、その感情が自分の行動をどこへ連れていくかを見てみてください。
破壊の方向に傾いているなら、そこで止める必要があります。
おすすめは、いったん距離を取り、何を学べるかを言葉にしてみることです。

妥当か不当か|嫉妬の向きを決める認知の分岐点

良性と悪性の分かれ目は、相手の優位をどう評価するかにあります。
努力で得た妥当な成果だと感じれば、嫉妬は自己改善へ向かいやすい。
逆に、不当に得た成果だと見なすと、感情は攻撃に変わりやすくなります。
つまり、嫉妬の毒性は感情そのものより、そこに重ねる解釈で決まるのです。
Van de Ven 2009 が示した区別も、まさにこの認知の分岐点を押さえています。

実践上は、嫉妬を感じた瞬間に「これは良性に振り向けられないか」と問い直すのが有効です。
相手を敵として固定するのではなく、自分が伸びるヒントとして見る。
たったそれだけで、感情の使い道は変わります。
嫉妬は消すべきものではなく、扱い方を選べるものです。
そう捉え直せると、成長の燃料として使いやすくなります。
少しずつ試してみてください。

自分の嫉妬とどう付き合うか|心理学に基づく5つの対処法

嫉妬は、他人を下げることでは消えません。
まず「今、私は嫉妬している」と名前をつけるだけで、感情と自分のあいだに少し距離が生まれます。
そこから比較の軸を整え、SNSの刺激を減らし、思考の歪みをほどいていくと、気持ちは現実的に扱いやすくなります。

Step1 感情に名前をつけて『嫉妬している』と認める

嫉妬が強いときほど、感情を否定したくなります。
ところが、押し込めるほど意識の中で膨らみやすいのが嫉妬です。
『今、私は嫉妬している』と認める行為は、我慢でも反省でもなく、状態を観察できる位置に戻るための第一歩になります。
感情に飲まれたまま反応するのではなく、まず事実として言葉にしてみてください。

この段階で役立つのは、自動思考に気づく姿勢です。
たとえば「自分だけ遅れている」「あの人は楽にうまくいっている」といった反応が出たら、それをそのまま真実扱いしないこと。
嫉妬を克服する鍵は、他人と比較しないことを無理に誓うことではなく、歪んだ思考に気づいて修正することにあります。
認知行動療法の発想では、感情の背後にある考え方を見直すほど、気持ちの波は小さくなっていきます。

Step2 比較対象を他人から『過去の自分』へ切り替える

他人との比較をゼロにするのは現実的ではありません。
だからこそ、比較軸を『1年前の自分』へ移すのが有効です。
時間軸を使った比較なら、相手の見えない努力や条件に振り回されにくくなり、嫉妬のエネルギーを自分の成長確認へ振り向けられます。
今日は何ができるようになったか、何が少し楽になったかを見ていくと、気持ちの焦点が変わります。

この切り替えは、自己評価を甘やかすためではありません。
むしろ、現実を正確に見るための方法です。
相手の成果だけを切り取って眺めると、自分の土台や積み重ねが見えなくなります。
『1年前の自分』と比べる習慣を持つと、嫉妬の中にある「自分も前へ進みたい」という欲求がはっきりし、次に何を伸ばすかを考えやすくなります。
ここはおすすめです。
小さくても、毎週一度は振り返ってみてください。

Step3 SNSの環境調整と感謝の記録で自己肯定感を支える

嫉妬が強い時期は、意志だけで耐えようとしないほうがうまくいきます。
SNSの閲覧を減らす、特定アカウントをミュートする、見る時間帯を決める。
こうした環境調整は、上方比較の刺激を仕組みとして減らす方法です。
研修参加者の中には、見る時間帯を夜だけ禁止に変えただけで気分の落ち込みが減ったと報告してきた人もいました。
夜は疲れがたまり、刺激を受け止める力が落ちやすいので、入口を絞るだけでも反応は変わります。

自己肯定感を支える習慣としては、毎晩『今日感謝できること』を3つノートに書くのが実践しやすいでしょう。
筆者も嫉妬で眠れなかった時期にこの『感謝3つノート』を続けたところ、2週間ほどでSNSを見ても揺れにくくなりました。
小さな満足を言葉にすると、足りないものばかりを探す視点が少しずつ弱まります。
『どうせ自分は』という自動思考に気づき、事実かどうかを問い直しながら、無理のない範囲で続けてみてください。

周囲の嫉妬深い人への接し方|巻き込まれない距離のとり方

嫉妬深い相手に向き合うときは、正面から張り合わず、熱が上がる前に一歩引くのが基本です。
言い返して勝とうとすると、相手の不安や焦りをさらに刺激し、やり取りが長引きやすくなります。
冷静さを保ち、自分まで感情の渦に入らないことが、いちばん消耗の少ない守り方です。

張り合わない・冷静に一歩引く

嫉妬してくる相手は、こちらの反応でさらにヒートアップしやすいものです。
ここで同じ土俵に乗ると、相手は「負けたくない」という感情を強め、会話は事実確認ではなく感情のぶつけ合いに変わってしまいます。
だからこそ、反論の強さよりも、受け流し方や間合いの取り方が効いてきます。
相手の言葉を真正面から受け止めすぎず、必要最低限だけ返して場を切り上げる姿勢が、結果的に自分を守ります。

筆者の職場でも、嫉妬の強い同僚に成果を細かく共有していた時期は、説明のたびに空気が重くなりました。
ところが、報告を業務上必要な範囲に絞り、反応を競わないようにしたところ、露骨な摩擦は減ったのです。
これは相手を黙らせたというより、相手の感情を刺激する材料を増やさなかっただけです。
張り合わない対応は弱さではなく、衝突の燃料を減らす実務的な選択だと言えます。

情報と成功の『見せ方』を調整する

嫉妬を受けやすい場面では、何を話すかだけでなく、どう見せるかも調整したほうがよいでしょう。
とくに職場のように関係を切れない相手には、プライベートの話を必要以上に広げず、成功や評価を過度に強調しないことが役立ちます。
隠すためではありません。
相手の比較意識を不用意に刺激しないよう、見せ方を整えるという発想です。

たとえば、うまくいった仕事の話をするにしても、成果そのものより、チームで進めた過程や事実ベースの共有に寄せると角が立ちにくくなります。
自慢に聞こえる表現を避けるだけでも、受け取られ方は変わります。
成功を控えめに伝えるのは遠慮ではなく、関係の摩耗を防ぐための配慮です。
自分の価値を下げる必要はありませんが、見せ方を少し変えるだけで、相手の嫉妬はかなり刺激されにくくなります。

距離を置く判断|関係を切れない時の最小対応

激しい嫉妬が続く相手には、物理的にも心理的にも距離を置くほうが安全です。
接触頻度が下がるだけで、衝突の回数も、気を張り続ける負担も減ります。
距離をとることに罪悪感を覚える人は多いですが、疲れ切るまで付き合う必要はありません。
自衛として間合いを取るのは、冷たさではなく境界線の管理です。

友人関係で嫉妬に疲れたとき、連絡頻度を意図的に下げた経験があります。
最初は申し訳なさが残りましたが、やり取りのたびに気持ちが揺れる状態から抜けると、驚くほど呼吸がしやすくなりました。
関係を断てないなら、返信を急がない、会う回数を増やさない、話題を限定する、といった最小限の対応で十分です。
相手を変えようとせず、自分の境界線を守ることに集中し、必要なら第三者や専門家に相談してみてください。

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小野寺 美咲

心理学科卒。企業の人事・組織開発部門で産業心理学を実務に応用してきた経験から、認知バイアスやコミュニケーション心理学など「日常で使える心理学」を伝えます。

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